龍田比古の奥山日記

愛する人を追い、斑鳩、三郷、平群、生駒、安堵…龍田川流域など大和を歩いている。気持ちのいい石室によこたわるかとおもえば、万葉のイリュージョンに垣間見たり、十一面観世音が暗号を呟く。…生駒郡という現代の地名を旧平群郡と読み替えると、いろいろなことが見えてきました。

アントキノイノチ

元気ですか?

アントキノイノチ(布施ライン)を観た。
またまた泣いてしまった。泣くというか、涙が出て来るのだ。
自分をいとしいと思い、悲しく思い、恥ずかしい
あんまり自分にはいい映画とは思えない。
ちょっとしんどい
でもそう思う自分があるが、今自分を見る自分は少しスタンスが変わっているような気がする。
映画を観て昔の自分に戻った時の感じ、思い出したんだね

おくりびと」と同じような映画であるようにも見えるが、あの昇華したような映像はない。リアリズム。最後で綺麗に終わらせる場面も出てくるが、凡そリアリズムの遺品整理業の作業を追いながら、吃音で苛められ躁鬱に追い詰められる男と、レイプされ母親からも理解されない女が、この遺品整理屋で出会う。

この映画で僕にいいと思ったのは悪人が出てくる。悪意を持って他人を貶める人物を描こうと意図した姿勢が素晴らしい。ゆえに涙が止まらなかった。
この悪人は勧善懲悪の悪人のようにスーパー悪人ではない。あなたでもあり私でもある。そういうリアリズム悪人である。あの「悪人」の悪人のように普通の人間でしかない。むしろありふれた善人が悪人になってしまう恐ろしさが

最後のBGMもよかった。

岡田将生が美しい。榮倉奈々の演技も好ましい。涙を誘う。