龍田比古の奥山日記

愛する人を追い、斑鳩、三郷、平群、生駒、安堵…龍田川流域など大和を歩いている。気持ちのいい石室によこたわるかとおもえば、万葉のイリュージョンに垣間見たり、十一面観世音が暗号を呟く。…生駒郡という現代の地名を旧平群郡と読み替えると、いろいろなことが見えてきました。

タケオ〜ダウン症ドラマーの物語

土曜日、生駒市福祉センターでドキュメンタリー映画「タケオ〜ダウン症ドラマーの物語」を観た。
主人公は本名新倉壮朗といい、アフリカン・ドラムをはじめ、ピアノやマリンバを演奏し、1998年より、各地でコンサート活動を行っている。
ダウン症の青年でもあり、その演奏は自由闊達でパワフル、セネガルのサバール(アフリカン・ドラムの一種)奏者で人間国宝のドゥドゥ・ンジャエ・ローズも感嘆した。
熱く激しいステージは、まさに生きる喜びというか、自由に演奏する楽しさで溢れる。ダンスがまじり、絵画に熱中するとそれのみとなる集中力。
普段は公立の写真館で掃除、展覧会の受付などいろいろな作業をして働いている。
回想シーンではホームビデオの編集も加え、小さい頃からの生い立ちと、音楽生育暦が披露される。

小学校6年で日本から約14万キロ、西アフリカに位置するセネガルに行ってサバールを学ぶ。東にサハラ砂漠、西に大西洋を臨む。生命の木、バオバブは国の象徴。西アフリカにはジェンベをはじめ様々な太鼓があるが、サバールはセネガル特有の太鼓で姿やサイズはコンガに似ている。
左手で木の枝を握り、手を自然に伸ばしてサバールの左側から手首を回転させて皮を打つ。右手はコンガのように素手で演奏する。奏法は多様で伝統的である。
サバール奏者として現地の人も驚くような演奏ができる。
現地の日本人向けワークショップや日本でのワークショップに加わり、経験者として指導に回る姿も見られた。
障害児向けのワークショップも毎年やっているそうで、マリンバやパーカッションを多数準備して、同じ部屋で自由に演奏してすごす。

今年から教師の端くれとなった息子とライブ活動を続けるもう1人の息子にも見せてやりたい映画だ。主催者に尋ねると、巡回上映で金を稼いでいるらしく、販売用のDVDディスクは無いとのこと。残念。

DVDの放映が終わると後方の会場入り口から太鼓を鳴らしながらタケオとそのグループが入ってきた。
1曲終わるとタケオが熱心にアナウンスを始め、終わらない。母親かマネージャかの女性の指示か、センターの職員がタケオのマイクを取り上げたので、腹を立て、なかなか次に演奏をしてくれなかった。回りのグループメンバーがドラムやジェスチャーで挑発するが乗らない。
ダウン症のよく見られる性格でもあるガンコさを見せ付けられた。

楽しかった。いろいろな友達が会場にいた。1人は「前で大きな男が1人踊ってると思ったらあなたやったのか」といわれた。どうも知らず踊っていたらしい。自分ではリズムを取っていただけだったのだけど。無料の上映、無料の演奏なのに、出口でポップコーンまでいただいた。ありがとうございました。